京都府警の高度の著作権処理の手腕について
前回は、コンピュータウィルスの作成者が著作権法違反で逮捕された事件をもとに、著作権法が他の知的犯罪すべてを抑止する法律として機能しうる可能性についてお伝えしました。
一夜明け、各新聞等には該当するウィルスに感染したときの様子が掲載されています。通信社の記事にこの画像が掲載されていたこともあり、多くの地方紙等でもこの画面は掲載されています。
- http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008012400890&j1
- http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200801240066.html
ウィルスは、アニメ「CLANNAD」の一場面の画像などが使われており、ACCSの発表によると、株式会社ポニーキャニオンほか3社が鑑定・告訴を行なったとされています。とすると、「京都府警提供」などとして新聞紙面等に掲載されているこの画像には著作権があります。新聞社等がこれらを掲載するのは、著作権法第41条に定める時事の事件の報道のための利用であると主張できる*1として、京都府警自身がこれらの著作物を複製して配布するのは、京都府警自身に報道の目的があるとは解しがたい*2ことから、著作権者に複製物の配布について許可を得ているものと考えられます。今回報道されている資料は、CLANNADの複製物のみならず、上記朝日新聞にはウィルスに感染したデスクトップ画面としてMicrosoft Windows XPのスクリーンショットとおぼしき画面、そして何よりウィルス作成者自身が創作したとおぼしき文言が掲載されており、これらもすべて「京都府警提供」と付記されています。とすると、京都府警は、被害にあったCLANNADの著作権者のみならず、Windowsの壁紙の著作権を有していると思われるマイクロソフト社、さらにはウィルス作成者自身から、著作物の複製の頒布について極めて短期間で許可を得たと推測されます。なお、万が一これらの許可を得ることなく報道機関に複製を頒布していたとすれば、それは著作権法違反であり、罰せられるべきものであることは言うまでもありません。
このように短期間に著作権についての処理を行なうことができるノウハウが一般に広く知られるようになれば、違法なアップロードは激減し、わたしたちも安心してインターネットを利用することができるようになります。当協会では、安心できるインターネット環境構築のために、京都府警がこのノウハウを一般に公開することを強く期待します。