ブログを開設しました。

2007年12月18日、文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会が違法サイトからのダウンロードを私的複製の範囲から除外する方針を打ち出しました。これにより、情を知って違法サイトからダウンロードを行うことは著作権法違反になる見込みです。しかし、世の中に多数あるサイトのうち、どれが適法でどれが違法であるかは容易には分からず、このままでは日本のインターネットが混乱に陥ることが懸念されています。

そのような流れを受けて、違法サイトを違法サイトとはっきり認定し、ついうっかり情を知って違法サイトからダウンロードを行なうことがないようにするために設立されたのが日本違法サイト協会です。当協会は2007年12月18日設立され、早速第1号の違法サイトとして文化庁指定しました。今後も違法サイトを認定し、閲覧しないように呼びかけることで、違法サイトからのダウンロード違法化時代のインターネットの安全な使い方を考えていきます。

おかげさまで、当協会の活動は多くの皆様の賛同を得ています。今後も違法サイト情報の収集・提供を続けていく予定ですが、それらをより多くの皆様に知っていただくため、このたび当協会のブログを開設することにいたしました。どうぞ、当協会の活動にご賛同とご支援をたまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。

違法サイト調査検討結果について(zfyl)

当協会は、掲示板における匿名の賛同者の方からの情報提供に基づき、下記のサイトが違法サイトであるかどうかについて調査検討を行いました。その結果、当該サイトが違法サイトであるという結論には至りませんでしたのでお知らせします。

サイトの概要

サイト名称
zfyl
アドレス
http://nirvana.blog1.fc2.com/
運営者の種類
不明

情報提供の要旨

政府の審議会で配付された資料や審議会での発言を勝手に掲載しているサイトである。

調査検討結果と理由

zfyl(以下「当該サイト」という。)は、主に著作権法の見直し等について情報を発信するサイトであり、いわゆるブログの形態を有している。

当該サイトには、文化審議会その他各種審議会等を傍聴した記録が掲載されているが、記録に付随して、審議会等における配付資料が掲載されている。これらは、文化庁が自らのホームページにおいて公開しているものと同一のものであると確認できた。

しかし、著作権法32条第2項には「国(……)が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する(……)報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。」とする除外規定がある。この除外規定に該当するのであれば、当該サイトは当協会の定義する違法サイトには該当しないこととなる。

そこで、これを当該サイトについて見ると、当該サイトが転載しているのは文化庁ホームページに掲載されている資料と同一であり、文化庁ホームページが「国が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する著作物」であることは明らかである。

ついで、当該サイトはいわゆるブログであるが、これが「新聞紙、雑誌その他の刊行物」に相当するかどうかについて検討する。刊行物の定義は著作権法上は必ずしも明らかになっていないが、他の法令を参照すると、例えば特許法第29条第1項第3号には「刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明」という記載があり、刊行物とブログ等のインターネット上のサイトを異なるものとみなしている。しかし、「電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明」との規定は平成11年の特許法の大幅な改正により加わったものであり、著作権法はこの間、大幅な改正を経ていない。仮に著作権法が大幅に改正されることがあれば、同法第32条第2項も同様の改正が行われることが推測でき、同法の規定がインターネット上のサイトをも含むという解釈は成立しうる。

さらに、転載を禁止する旨の表示は当該資料そのものにも、文化庁ホームページについてにも存在しない。

以上から、当該サイトは著作権法32条第2項に従った適正な転載をしていると推定でき、著作権侵害の事実は認められず、当該サイトは現時点において違法サイトであるとは認められない。

補足

なお、文化庁は、文化庁ホームページについてでは、文化庁ホームページについて下記のように主張している。

文化庁ホームページ」に掲載されている個々の情報は著作権の対象となっています。また,「文化庁ホームページ」全体も編集著作物として著作権の対象となっており,ともに日本国著作権法及び国際条約により保護されています。

http://www.bunka.go.jp/about_hp/index.html

しかし、文化庁ホームページ内には著作権等管理事業法施行規則のように、著作権法第13条第1項または第2項において著作権の目的とならないことが定められている情報も掲載されており、上記主張は明らかに誤りである。また、

当ホームページの内容の全部又は一部については,私的使用又は引用等著作権法上認められた行為として,適宜の方法により出所を明示することにより,引用・転載複製を行うことが出来ます。ただし,「無断転載を禁じます」等の注記があるものについては,それに従ってください。

http://www.bunka.go.jp/about_hp/index.html

と、著作権の制限についても記載しているが、著作権法第30条に定める私的使用においては出所の明示義務がないにもかかわらず出所の明示を要求し、ある種の資料については第32条第2項に定める転載が可能であることをことさらに隠すばかりか、無断転載を禁ずると著作権者が主張すれば私的利用や引用など著作権法上に定められた利用までが行なえないかのような、著作権法の解釈上とうてい容認できない主張を続けている。文化庁ホームページは当協会が第1号として指定した違法サイトであり文化庁著作権法についての知識が欠如しているばかりか誤った主張ばかりを行っているので、当協会では引き続き文化庁ホームページを閲覧しないよう警告を続けるほか、文化庁ホームページに記載されている著作権に関する解釈は誤りが多数あることについて強く注意を喚起する。

以上

ダウンロード違法化の動き 2007年12月18日-19日

このカテゴリーでは、違法サイトからのダウンロードを違法化する動きについて紹介します。19日から20日にかけては別に記事があります。

私的録音録画小委員会における方針の提示

2007年12月18日、文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の2007年度第15回会合において、文化庁著作権課著作物流通推進室長の川瀬真氏から、「情を知って違法サイトからダウンロードすること」を私的複製の範囲から除外する、すなわち違法行為とする方針が示されました。なお、川瀬氏は2006年4月の第1回会合から、人事異動で交代することなく小委員会に事務局として出席しているただ一人の人物です。

小委員会の委員の一人でIT・音楽ジャーナリストの津田大介氏は、Twitterというサービスを通じて小委員会の内容を報告していました。

小委員会に対するインターネット上の反応

小委員会の方針を受けて、インターネット上でさまざまな議論が巻き起こりました。この日は、映画「シェーン」の著作権が消滅しているかどうかが争われた裁判の最高裁判決があったり、インターネットで人気のあった曲「みくみくにしてやんよ」が、作者の意に反して日本音楽著作権協会 (JASRAC) に登録されたのではないかという疑惑など、著作権に関するトピックが多くありましたが、その中から本件に関係するものをピックアップすると、次のようになります。

まず、「半可思惟」では、(1)違法ダウンロードを検知する仕組みがない、(2)多数寄せられたパブリックコメントでの反対意見を検討した形跡がない*1、(3)「情を知って違法サイトからダウンロードする」ことに対して、警告してから民事訴訟を起こすというのを「情を知って」の解釈とするのは法解釈上不適当、(4)アップロードで違法サイトの取り締まりはできるのに、あえてダウンロードを違法化して国民の多くを潜在的犯罪者とするのは立法利益を考えると不利益が大きい、(5)過剰な締め付けはユーザーがコンテンツ産業から離れていってしまうことにつながり、文化の衰退につながる、という5点を挙げて、ダウンロード違法化は問題視すべきであるという指摘をしました。

ものがたり」では、「知らずに違法サイトからダウンロードした」という事態を避けるため、文化庁では法改正がなされた場合の周知徹底や、適法サイトを示すマークの普及などを提案していることについて、ユーザーが心配しているのはそんなことではなく、適法なサイトであっても違法サイトかもしれないと思ってしまうことによる、不当な競争方法が行なわれてしまうのではないかという懸念である、と指摘しています。

弁護士の小倉秀夫氏は自信のブログ「BENLI」で、審議会の決定は即法律となるのではなく、立法機関は国会であるのだから、ダウンロード違法化を阻止すべく国会議員を動かすべきだと主張し、実際に面識のある国会議員を通じて政党に働きかけようとしています。また、小委員会で川瀬氏が「ユーザーが著しく不安定な状況に置かれることはない」と発言したことに関連して、「ダウンロードが違法とされれば、民事訴訟における証拠保存手続きとして、自身のハードディスクの内容すべてを権利者に複写されるかもしれない、として、川瀬氏の楽観視に疑問を呈しています。

国会議員の川内博史氏は、自身のブログで、これは「「ユーチューブ」動画保存違法化法案」とでも言うべきもので、闘わなければならない、との見解を示しました。

パブリックコメント提出時から、ダウンロード違法化に反対してきたインターネット先進ユーザーの会(MiAU)は、今回の提案方針について緊急メッセージを発表しました。また、発起人の一人である小寺信良氏は、法人化もされていない団体の意見など考慮に値しないというのなら、きっちりと法人登記する、として、MiAUの早期の法人化を示唆しました。

「違法サイト」を認定する動き

このような中、ダウンロード違法化後のインターネット利用のあり方としては、違法サイトを認定してそれを広くユーザーに知らしめるべきだとして、任意団体日本違法サイト協会が設立され、第1号の違法サイトとして文化庁を認定しました。

また、しっぽのブログでは、定義に基づき違法サイトからのダウンロードを違法としたときにどのサイトが違法サイトになるかについての考察がなされました。

以上がダウンロード違法化の動きに関する2007年12月18日から19日にかけての動きでした。なお、インターネット上には本件に関する意見がブログを中心として数千の単位で存在しましたが、すべてを紹介することは不可能なため、一部を紹介するにとどめました。ご了承ください。

なお、上記の紹介のしかたからは、当協会がダウンロード違法化について反対の立場を取っているかのように受け取られるかもしれませんが、当協会はあくまで将来的に「情を知って違法サイトからダウンロードすること」が違法になったときに違法サイトを認定することを目的としており、ダウンロード違法化の是非については現時点で積極的な賛否を表明していないことをお知らせします。

*1:パブリックコメントが議論に生かされていないとする憤りは、ほかにhttp://www.himajin.jp/mt/ei/2007/12/post_318.htmlなど。